独学4か月で英語回路を作り、TOEIC 600点を超える方法
英語を学習する目的は人それぞれです。
TOEICで高得点を取りたい人や、突然海外転勤になり、何が何でも英語が話せるようにならなければならない人もいれば、単純に趣味で洋書を読んだり洋画を字幕なしで楽しめるようになりたい人もいるでしょう。
TOEICで高得点を取るための勉強法と、洋書を楽しむための勉強方法は当然異なります。
しかし、英語初級者に必要なトレーニングは共通しています。
まずは英語回路を作る必要があるのです。
ここでは、英語初級者向け (~TOEIC 600点) に、英語回路を作るための具体的なトレーニング方法を解説します。
なお、ここで推奨するのは、「聞き流すだけで英語が話せるようになる」ような楽な道ではありません。
しかし、きっちり3か月トレーニングすれば必ず効果が上がります。
きっちりやり遂げる覚悟のある方だけ先へお進みください。
英語回路とは
ここでいう英語回路とは、英語を英語のまま理解する能力のことを指します。
学校の英語の授業では、英文を日本語に訳して理解することに重きが置かれていますが、ここには致命的な欠点があります。
いちいち日本語に訳しているようでは、実際の会話のときなどにはスピードが追いつかないのです。
TOEICのリスニング試験を受けたことがあれば実感があるかもしれませんが、聞こえてくる英文を日本語に訳している間に、次の英文の音声が流れてきます。
実際の会話でももちろんそうです。こちらが日本語に訳しているうちに置いてけぼりにされてしまいます。
リーディングは自分のペースで読めるためまだマシですが、英語のまま理解するのに比べ日本語に訳する時間がかかるため、読解スピードが遅くなります。
訳読にはスピードの限界があるのです。
まずは、英語を英語のまま理解する回路を作りましょう。
翻訳しないと理解できないという思い込み
先ほども少し触れましたが、学校の英語の授業では、英文を日本語に訳して理解することに重きが置かれています。
そのため、「英語は日本語に翻訳しないと理解できない」という思い込みが刷り込まれています。
しかし、ちゃんと練習すれば誰でも「英語は英語のまま理解できる」のです。
ここでポイントとなるのはイメージです。
以下の例文で考えてみましょう。
I bought an apple. (私はリンゴを買った。)
この文章を理解するときのプロセスは、以下のようになるはずです。
- 英文のまま読む (I bought an apple.)
- 日本語に翻訳する (私はリンゴを買った)
- 頭の中に、自分がリンゴを買ったときのイメージが出来上がる
英語が母国語である人は、当然1→3の順序で理解しています。
そして重要なことは、母国語が日本語である我々でも、英文から直接イメージを想起するように繰り返し練習すれば、1→3の流れで英語を理解できるようになるということです。
英文からイメージする際のポイント
英文からイメージする際に重要なポイントは、あくまで元の英文を崩さず、前から順番にイメージするということです。
先ほどの例で言うと、以下のようになります。
- I (私は) →自分をイメージする
- bought (買った) →買っている場面をイメージする
- an apple (リンゴを) →リンゴをイメージする
- (頭の中には、自分がリンゴを買っている場面がイメージとして完成している)
通常英文を日本語に翻訳する際は、後ろから訳します。
これは、英語と日本語では通常語順が異なるため、語順のまま訳すときれいな日本語にならないからです。
上記の例文で言うと、「私は/買った/リンゴを」となり、きれいな日本語にはなりません。
しかし、意味は理解できると思います。
なぜ英語の順番にイメージ・理解することが重要かというと、例のように短い英文なら良いですが、長い英文になってくると、日本語のきれいな語順に並び替えてからイメージすることが非常に困難になるからです。
また、冒頭でも説明した通り、最後まで聞いてイメージを作っているようでは、次の英文がどんどん流れてくるような会話の場面ではスピードの面でまったく太刀打ちできません。
元の英文の順にイメージする・理解するということが重要なのです。
慣れないうちは、「英文→日本語→イメージ→理解」の順番でも構いません。
しかし、イメージをして理解するということをなるべく意識してください。
そうすれば、次第に「英文→イメージ→理解」の順で理解できるようになります。
100回音読
トレーニングの核となるのは音読です。
数多の英語学習本でもその効用が語られていますが、正しいやり方で音読することが、英語回路を作るうえでの一番の近道になります。
100回音読では、その名の通り100回を目標にひたすら音読を行います。
100回という回数以外にも重要となるポイントがいくつかあります。
ポイント
- 1冊のテキストを合計100回音読するまで使い続ける
- 付属のCDをよく聞き、なるべく聞こえたまま発音するように心がける
- 音読しながら、英語の内容をイメージする
それでは、具体的なトレーニング方法を見ていきましょう。
使用するテキスト
いずれも中学校の英語の教科書が素材となっており、音声CDが付いています。
1冊目の入門編が中学校1-2年生レベル、2冊目の標準編が中学校3年生レベルです。
進め方
1日1レッスンを20回音読し、次のレッスンへと進みます。
最後のレッスンまで20回音読したら、最初のレッスンへと戻り、再び20回音読を繰り返します。
5周で合計100回音読することを目標とします。
1回のレッスンは以下のように勧めます。
1. CDの音声を聞きながら、英文を理解する
- CDの音声を聞き、正しい発音を頭にインプットします。
- わからない単語があれば意味を調べ、その文章の意味を理解します。
2. 音読する (以下の1,2を組み合わせて合計20回になるまで音読)
- CDを聞きながら音読
- CDを聞きながら、なるべく聞こえたままに発音するよう意識して音読を行います。
- CDの音声から1-2語遅れて音読 (シャドーイング) しても良いです。
- CDを聞かずに音読
- 音読しながら、英語の内容をなるべくイメージするよう心がけます。
その日のトレーニングが終わったら、各レッスンの最初のページに音読回数と日付をメモしておきましょう (例: 11/8 20 回)。
トレーニングの記録を残しておくことで、モチベーションの維持につながります。
1冊目の入門編が終わったら、2冊目の標準編も同じようにトレーニングを行います。
短文暗唱
基本的なコンセプトは100回音読と同様ですが、短文100回暗唱では、中学生レベルの短文を繰り返し音読することによって、英語の基本的な文型を頭に焼き付けます。
TOEICの第5問や、英会話にも効果大です。
ポイント
100回音読と同じ
使用するテキスト
こちらも中学生レベルの英語ですが、まとまりのあるパラグラフではなく、文型ごとに短文が並んでいます。
「Are you ~?」「Do you ~?」などの基本的な内容から始まりますが、こういった基礎的な文型を感覚レベルで理解できるようになることが重要です。
進め方
1日2ページを20回音読し、翌日は次のページに進みます。
1週間続けた段階で、初日のページに戻り、再び1日2ページずつ音読します。
この14ページ分を100回音読するまで周回を重ね、完了したら次の14ページ分を同様に音読します。
1日分の進め方は100回音読と同様です。
まずは英文の意味を理解し、その後音声を聞きながらの音読・音声なしの音読を合計20回になるまで繰り返します。
Duo聞き流し
Duo という単語帳には、560の英文の中に単語1,600語と1,000の熟語が凝縮されています。
単語・熟語ごとに例文が書かれている単語帳では、例文が2,600文になっていしまいますが、Duoを使用すると約1/5の例文でまかなえることになります。
ポイント
- 隙間時間に復習用CDを聞き流す
- 日英の対訳をセットで暗記する
使用するテキスト
進め方
通勤時間などの隙間時間に復習用CDを聞き流します。
復習用CDに付属している小冊子には、日英の対訳がついているので、可能な限り小冊子を見ながらCDを聞きましょう。
これを隙間時間に続けると、英文と日本語訳のペアを自然と暗記できるようになります。
日英訳のペアを暗記していると、それを分解することで個別の単語の訳も覚えられるようになります。
例:
we must respect the will of the individual. (個人の意思は尊重しなければならない)
この英文を訳文とセットで覚えると、respect は「尊重する」、「will of the individual」で「個人の意思」という意味になることがわかります。
個別の単語ごとに暗記しなくても、文章ごと覚えてしまうことで複数の単語の意味を覚えられるのがDuoの最大の利点です。